母危篤 シャコバサボテン なえ萎む
夕焼けに 雲たちふさがり 富士見えず
妹と 母の病状 きく寒さ
管のどに 替えて静かな 母の顔
祖母見舞い 声つまらせて 夜の街(娘と母を見舞う)
孫を抱き ママのオバアチャン ネンネねと
(娘一家もいっしょに病院に母見舞う)
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電話鳴る 度にドキッと 置炬燵
病院を 出れば 池上本門寺
母病状 もち直しいて 本門寺
(母の病状昨日より良好 妹と本門寺を歩く)
冬の雲 車窓に流れ 息とめる
(十六時十五分南武線で帰る途中母死去
帰宅し電話あったと知る)
友引を さけて仮通夜 障子風
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帷子に なじみの住職 経を書き
戒名は 日光信女 枕経(仮通夜で納棺)
冬の暮 花輪の前で 車とめ
チャンづけで 呼ばれる人々 喪服来て
縁先で 焼香する人 われ老いぬ
(会葬者は弟・妹の関係者たち)
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曾孫きて 喪服の肩から 顔を出し
(孫前の方に来てめずらしそうに坊さんの読経を見たり)
母葬儀 願い通りの 小春かな
山茶花の 落ちるが如く 母は往く
遺族席 長男老いて 控えめに
(遺牌は弟 遺影は妹 挨拶は義弟 われ用なし)
「ママノオバアチャン ドコイッタノ」 お骨拾い
朝昼晩 よくも眠れて 母供養 |
母建立 墓石の文字に 春の雨
百ヵ日 曾孫騒いで 春供養 |
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